愛知淑徳大学嘱託職員雇止め事件

愛知淑徳大学嘱託職員雇止め事件団体交渉開催

名古屋管理職ユニオン(名古屋市中区,代表者執行委員長山上博信)は,
嘱託職員の雇止め事件に関し,2013年9月26日夜,
愛知淑徳大学(愛知県長久手市および名古屋市千種,学長島田修三)を
運営する学校法人愛知淑徳学園(代表者理事長小林素文)と団体交渉を開催しました。

学園側は,学園長の指定する交渉代表者粟野泰次事務局長,
四橋善美弁護士,四橋和久弁護士らが対応しました。

本件事案は,1年契約の更新を繰り返してきた嘱託職員が5年目の9月末日を
もって雇止めされる事案です。
残念なことに,交渉代表者は,団体交渉の席上,
「嘱託職員は,嘱託職員就業規則により,5年を超えて雇用することは決してない」
という説明を繰り返すのみでした。

この点,5年めで雇止めすることの合理性,被解雇者に対し学園側が雇用継続に
つき期待を抱かせるような事実があったかどうかについては,
学園側弁護士・労働組合ともに慎重に検討の上議論する必要があると考えています。

学園の見解か交渉代表者の見解かはわかりませんが,
1・労働契約法が今春改正されたことに伴い,将来を先取りして5年目の
 雇用契約の更新をしないと考えている
2・大学の非常勤講師・非正規雇用の職員の地位につき,東海地方の私大の
 先鞭をきり,雇用の安定に努力するつもりはないと考えている
のかもしれません。

しかしながら,労使協定は,就業規則に優先するのですから,
教育力のある講師・熟練した職員のうち組合員に対しては,地位の安定向上を
図ることは,優れて学校経営者に求められる姿勢だと思われます。

なお,団体交渉の席上,学園側交渉代表者が
「就業規則により5年を超えて雇用するつもりは全くない」
と言うのみでしたので,
労働組合として,結論に固執するばかりの交渉態度そのものが
不当労働行為として,労働委員会や裁判所で非難される旨注意を喚起しました。

最後に,結論に固執したが故に不当労働行為とされた,代表的な事件をいくつか
紹介しておきます。
判例に「愛知淑徳大学事件」と言う名が残りませんように…。


中央労働委員会データベースから3件紹介

事件名 日本メール・オーダー
事件番号 最高裁昭和50年(行ツ)第77号・第78号
上告人 東京都地方労働委員会
上告人参加人 全日本商業労働組合
被上告人 株式会社 日本メール・オーダー
判決年月日 昭和59年 5月29日
判決区分 破棄自判
重要度
事件概要 年末一時金交渉において、会社側が生産性向上に協力をするという前提条件に固執したため、妥結に至らなかったことに対する地労委の救済命令(48・5・19)の取消しを求める行訴事件で、二審東京高裁の原判決破棄(原判決は会社側請求を棄却(50・5・28)を不服として労委が上告(50・6・6)していたが、最高裁は地労委の命令を支持し、控訴審判決を破棄するとともに、被上告人会社の控訴を棄却した。
判決の要旨
1201 支払い遅延・給付差別
 会社が一時金の上積み回答に「生産性向上に協力する」との前提条件を付したのは、組合が前提条件を受諾しないことを予測して提案し、それに固執した結果、組合員が一時金の支給を受けられなかったことは不当労働行為である。

2235 その他組合の態度
 会社の提示した前提条件に同意しない結果、一時金の支給が受けられなかったことは不当労働行為に当たり、これを不当労働行為に当たらないとした原判決は取消す。


事件名 東北測量
事件番号 青森地裁昭和61年(行ウ)第5号
原告 東北測量  株式会社
被告 青森県地方労働委員会
被告参加人 全日自労建設一般労働組合
被告参加人 全日自労建設一般労働組合青森県本部東北測量分会
判決年月日 平成 1年12月19日
判決区分 請求の棄却
重要度
事件概要 本件は、会社が、賃上げに関する不誠実団交、組合と協議をすることなく希望退職者の募集及び指名解雇の意思表示を行ったとして争われた事件で、青森地労委の救済命令(61.8.5)を不服として会社が行訴を提起したが、青森地裁はこれを棄却した。
判決の要旨
2240 説明・説得の程度
 賃上げに関する団交において、会社が、経理資料を提示する等して詳細な説明をしなかったことが、誠実に団交に応じなかったものとして、労組法7条2号の不当労働行為を構成する。
4500 交渉拒否理由または交渉条件に関する指示に触れた例
 使用者に対して、組合から将来申し入れられる賃上げ等に解する団交について、誠実に応ずべきことを命じたことは是認できる。


事件名 カール・ツァイス
事件番号 東京地裁昭和62年(行ウ)第130号
原告 カール・ツァイス  株式会社
被告 東京都地方労働委員会
被告参加人 総評全国金属労働組合東京地方本部カール・ツァイス支部
被告参加人 日本労働組合総評議会全国金属労働組合東京地方本部
判決年月日 平成 1年 9月22日
判決区分 請求の棄却
重要度
事件概要 本件は、人事異動に関する団交拒否をめぐって争われた事件で、地労委が、団交拒否の禁止及びポスト・ノーティスの救済命令(62.8.1)を発したところ、これを不服として使用者側が行訴を提起したが、地裁はこれを棄却した。
判決の要旨
2240 説明・説得の程度
会社の団交における態度は、組合の要求を真摯に受けとめ、検討したうえ、応じられないことを納得させようとする態度が見られず、誠実性を欠く態度と認められ、不当労働行為である。


※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。